花の仕事歴
高校2年生の頃、ふらっと面接に行ったお花屋さんでアルバイトしたのがきっかけで、現在も花の仕事を続けています。
当時17歳。花屋さんってなんかおしゃれかも!というざっくりした動機で面接に行きましたが、ちょっと変わった店長に拾われてバイトがスタート。何にも出来なさそうだけど、古着のジーンズとワークブーツを履いていたのを気に入って、私を採用してくれたそうです。
そして高校卒業までアルバイトを続けて、店長、社長の推薦でその当時は珍しかったフラワーデザイン専門学校へ進学しました。
できたばかりの専門学校で、1年間という短い期間に、今考えてもすごいカリキュラムを詰め詰めで教えていただきました。最初の数か月は学校が出来ていなくて、太田市場を間借りして授業していたのも懐かしいです。
片田舎から東京に通い、色んな体験をさせてもらった1年を経て、私は東京では就職せず、地元の変わった店長の元へ帰ってきて、そこから結婚をするまでの間、お花屋さんという仕事を楽しんで過ごしました。
23歳で結婚・出産して、しばらく花屋という仕事に復帰できず、子供が中学生になるまで土日祝日休みのお仕事を続けましたが、そんな時、当時あの花屋で一緒に働いていた子が、「今自分が働いている花屋でレッスンしてくれる人を探してるんだけど・・どう?」と声をかけてもらって、現在に至ります。
国家検定に挑戦しようと思うまで
日々の生活の中で趣味としてフラワーアレンジメントを楽しみたい方に向けてのレッスンを続けてきた私ですが、ある時から「自分が何者なのかを証明したい」と思うようになりました。
花屋の仕事に資格は必要ないと長い間思って過ごしてきたので、「資格に挑戦する」という概念がまったくありませんでしたが、10年ほど教える仕事をしてきて初めて、誰かに名乗れる何かが欲しいと思い始めたんです。
「国家検定1級受けてみようかな」
今から勉強できるのか?続けられるのか?色々不安もありましたが、考えるよりまずはスクールに通おう!ということで、30年振りの都内通学が始まります。
1年目は検定中止
2019年9月から自分の休みを使って週2回、スクールに通い始めました。検定が行われるのが次の7月ごろ。約1年間のスケジュールです。
仕事で毎日のように花束やアレンジメントを作り、自分で教えている教室もある。長い事お花の仕事に携わってきたけれど、国家検定の勉強は「!?」の連続でした。
どうなってるのかわからない形のアレンジやブーケ。遠い昔に専門学校でやったような気もするカーネーションを割る作業。国家検定の1級を受けるのだから、色々出来て当然という周りの空気感。
1レッスン3時間でしたが、しばらくは目一杯の時間をかけても一つの課題が終わらない状態で、毎回ヘトヘトでした。
2020年を迎え、繁忙期になる3月に備えて1、2月のうちになるべく多くスクールに通おうと思っていた矢先、あのパンデミックとなりました。
それからは時短や休校が増えて、スクールは思うように行けなくなり、細々と家で勉強を続けてはいましたがその年の検定は中止に。
スクールに結構な金額を払い込んでいたのですが、残りの回数を消費できないまま、約束の1年間が終了。払い戻しはいかなる理由でもしませんと最初に言われていたので、費やしたお金は溶けていきましたが、時間はこれからも作れるし、スクールでもらったテキストと市販されているテキストを頼りに2021年の検定に向けて「独学」していくことになりました。
2年目は不合格
独学は正解と終わりがわからないままひたすら練習し続ける、とても不安な時間でした。考えてみれば、スクールにきちんと通えて先生にレクチャーしてもらえたのはほんの3~4カ月。1つの課題にたっぷり3時間かかるようなダメっぷりで、果たして独学の壁を越えられるか。それでも気持ちは落ちていなかったので、テキストを見ながら繰り返し練習を続けました。
もしかしたら間違ったやり方をしているかも、そもそもやり方が全然合ってないかも、と常に心配は付きものでしたが、それでも練習するしかなかったんです。今年は検定を開催するという情報を得た頃に、ちょっとしたツテで1級フラワー装飾技能士の先生にお話を伺う機会がありました。「正解がわからないままやっているのでどうしていいのかわからない」と言ったら、試験の概要に書いてあることだけきちんと守る、極端に言えばそれ以外やらなくて良いとアドバイスをいただき、色々と謎がとけました。
そこからは、試験概要とテキストを照らし合わせながらただただ練習。完全な仕上がりとまでは言えませんでしたが、希望が見える状態で試験に臨むことができました。でも結果は不合格。ひょっとしていけるかもしれないけどダメかもしれない、本当にどちらに転んでもいいと思っていたので、それほどのダメージはなく、また来年チャレンジしようと前向きな気持ちで2022年を迎えました。
3年目は異例の展開で不合格
修正するべき点がなんとなくわかり始めて独学の心細さも半減されてきたので、さらに意欲的に練習を続けていた5月末、何十年と変わらない内容で行われてきた試験が、なんとこの年からガラッと変更されることに。
送られてきた試験概要を見てびっくりしました。使用する花材も資材も形も全然違うし、なんなら課題が一つ増えている。これはどう対策していこうかと考えましたが、とにかく試験概要に書いてあることを忠実に再現するということだけやっていこうと気持ちを切り替えてまたひたすら練習しました。不思議と今回はやめようという考えにはならなかったんです。むしろ、これで受かったら内容が変わった年の第一号になれる!と謎の前向き思考でした。
そうしてまた、誰からもそれで良いとも違うとも言われない、独学という自分との戦いが始まりました。受かったらすごいよねとふんわり思う自分もいましたが、きっと無理だろうなと確信しているリアルな自分。今年はどんな試験になるのか、来年のための下見だと思えばいいか、色んなことを思いながら3カ月間ひたすら練習に励みました。結果は不合格。
でしょうね。と納得しながらも、何がダメでどこが不合格なのか、そもそも合格って何点?来年はどこを強化したら良い?という疑問を解消するために、協会に問い合わせしました。県庁の中にある管轄部署まで出向きお話を伺いました。合格点やそれぞれの配点に関することは教えてくれましたが、詳細は分からずじまい。分かったのは、合格点に満たなかったから不合格という現実だけ。やたら清々しい気持ちで、また来年頑張ろうと迷わず思えました。ただ、このまま独学の手探り状態では同じことの繰り返しだなと感じていたので、誰かに教えてもらう事も検討しなければいけないなと思い2023年を迎えました。
4年目でやっと合格
独学には限界があると分かったので、2023年は年明け早々にスクール探しを始めました。パンデミックになる前にはほとんどのスクールに採用されていなかったオンラインスクールが選択肢に入っていました。
オンラインなら通学の手間がなくなるし、何と言っても自分の時間を有効に使えるメリットがある。いくつか調べた中に、動画レッスンを販売しているスクールにたどり着きました。動画は買い切りで、いつでも見返すことができる、個別レッスンを希望すれば別料金で対応もしてくれるとのこと。簡単な質問であれば、会員サイトの連絡ツールで無料で答えてくれるなんて、もうこれしかないと迷わず購入しました。
一通り動画を見て、先生が作った完成課題と自分が作ったものを比べたら、不合格だったのも納得。細かい部分が全然できていませんでした。例年7月か8月に行われる試験まで半年ちょっと。3月と5月前半は花屋の繁忙期なので、そこは練習に充てられる時間がないものと考えたら半年もない状態です。課題の数と練習できる時間の計画を立てて、またひたすら猛練習の日々。
4月の前半に試験の申し込みが始まり、地元と東京の二カ所に申し込みを済ませました。自分のためなのはもちろんですが、休日の時間をほぼ練習している私に応援はないけど黙って見守ってくれた家族、練習用の花の手配や練習の時間を調整してくれた店のオーナーとスタッフに報いるためにも、ただひたすら繰り返し練習しました。
そして、やっと手にした合格通知。受検を決めてから4年、2度の不合格を経て3度目の挑戦での合格でした。晴れて名乗れる1級フラワー装飾技能士という肩書。私はこの資格を持ってやりたいことは、お花の仕事に携わっている多くの人に検定の魅力を伝えていく、受検に必要なスキルを効率よく学習する方法を提供することです。失敗したからこそ、伝えられることがたくさんあると感じました。国家検定を受けようかどうか迷っている方、受けたいけど学習方法に悩んでいる方などへ、気づきや励みになれば幸いです。